成果発表!若手のテキスタイルデザイナーを育てる第一回マテセン・スクール

2021年7月からスタートした第一回マテセン・スクールが無事終了いたしました!!

成果発表会にて、岩田講師と受講生の皆様(※撮影時のみマスクを外しています)


マテセン・スクール とは、尾州産地の繊維関係の企業で働く若手従業員や、産地企業に就職を志す学生など、産地で活躍したい方を対象に、テキスタイルデザイナーの育成を図るための企画です。マテセン・スクール開始時の記事はこちら

ご参加いただいた企業様

  • 長谷虎紡績株式会社(羽島市)
  • ファインテキスタイル株式会社(羽島市)
  • みづほ興業株式会社(一宮市)
  • 有限会社ソーイング未来(岐阜市)
  • 葛利毛織工業株式会社(一宮市)

研修の期間を経て、さまざまなシナジー効果が生み出され、大変興味深い作品ができあがりました!さっそく参加された受講生の作品をご紹介致します。

長谷虎紡績株式会社(羽島市) 里見さんの作品

① 尾州は「毛織物の産地」、②岩田講師の得意な「ジャカード織り」、③「長谷虎紡績の虎」の3つをかけ合わせて、ウールのジャカード織りで、「トラ柄」を表現することにしました。トラの背中の模様と、お腹の模様を組み合わせて、トラの柄が単調にならないようにデザインしました。さらに立体的な表現ができるように、トラ柄に影をつけるなど工夫しました。実は、縁起を担いで、毛を上に立てようと思っていたのですが間違って反対から起毛してしまいましたぁ~。ありゃ~まぁ。こんなこともありますよね(笑)失敗は成功のもとです!この生地はコートなどにしてみたいと考えています♪

ファインテキスタイル株式会社(羽島市)澤田さん

個人的にアウトドアが大好きで、迷彩柄のブランケットを作ってみたかったんです。今回、柄を丸っこくしたカモ柄に挑戦させていただきました。ハンターカモ柄より変わった感じになるかなぁと大変楽しみにしていました。仕上がってみると、とても柔軟性がありました。参考にしたサンプルよりもふくらみがあり、良い生地に仕上がったと大満足です。ブランケットステッチ加工をできるところが岐南町にあるので、これを使って、オリジナルブランケットを作ってみたいです。

みづほ興業株式会社(一宮市)水谷さん

私たちの染色整理の仕事では「破れ」というのはトラウマ的ダメージですが、その「破れ感」を「逆に活かした」デザインをしてみたかったんです。トラウマ克服(笑)普通のものではつまらないから、いろいろチャレンジしてみたいという思いもあり、三原色をつかった面白いデザインにも挑戦できたのですが、今回はあえて「モノトーン」でチャレンジ!製作の過程では、想像出来なかった起毛の筋ができたり、まさに誰も想像のつかないテキスタイルが誕生しましたね(笑)。でも成功したとは思っていません。また、チャンスが有れば、チャレンジしてみたいです!

有限会社ソーイング未来(岐阜市)荒深さん

今回は、ウールとベンベルグの混色。経糸がキュプラで緯糸がウールのロングドレスをつくりました。シンプルイズベストの生地を活かした本当にシンプルで体のラインが出るものをつくってみました。

葛利毛織工業株式会社(一宮市)大井さん

(大井さんはお仕事の都合で、最後の発表会には出席できませんでしたが、大井さんも素晴らしい生地をつくりました♪)


スクールの感想

里見さん

全ての工程を見て学ぶことが出来ました!
マテセン・スクールでは、デザインのアイデア出しから、糸選び、織り方の選択、それらの一つ一つの過程を実際に見て、全部通して学ぶことができたので、とても勉強になりました。コロナじゃなかったら、もう少し受講生の皆さんと交流できたらよかったなぁと思いました♪

澤田さん

自分が作りたいモノづくりができた
自分が目指したい生地を、いろんな方の意見を取り入れながら、最終的にはとてもいい作品が作れました。これは、自分だけの力で、できるものではなく、いろんな方々の協力があってできることを改めて実感しました。スクールでは、同じ業種であっても、工程的な部分で異なった専門分野の方々と交流できたのはとても興味深く楽しかったです。自分にはない全く違った意見なども聞けて幅が広がりました。とても楽しかったです!

水谷さん

大きく視野を広げられました
糸や組織をもっと知っていれば、ジャカードのデザインを染色整理で更に良くすることができるし、お客様にも更に良い提案ができるようになります。まだまだ勉強不足なので、今すぐ役立ちはしませんが、今回の学びは今後の大きな糧になると確信しています。この研修ではジャカードという柄のデザインを考えるモノづくりで、今まで会社で生地の風合いをつくるモノづくりばかりを考えていたので、私が今まで経験したことと違った楽しさや難しさを経験し、視野を広げられたことは大きな収穫でした。

荒深さん

一人ひとりの個性ってすごい!
スクールに参加して良かったことは、生地をつくるという工程は、私は全くわからなかった世界なのですが、とても深いものだということを実感しました。ひとりひとりの個性によって、出来上がる生地が全く違ったものになるのだなぁと感心しました。「出来上がった生地に納得していない」と言っていた受講生の方もいらっしゃいましたが、あれはあれでとてもいい表現だなぁと思いますし、本当に奥が深いですね。

大井さん

とても有意義な時間でした
初めてジャカードの企画と現場に携わることができ、ジャカード織機の仕組みや生産の流れを知ることができました。今まで自社でドビー織機での企画や現場を実践し、ドビーにできることとジャカードにできることの違いが明確になったので、今後お客様のご要望などにお応えできる知識の範囲が広がりました。また、同じ産地で働く様々な業種の方と同じ時間・課題を共有することができ、とても有意義な体験でした。

受講生の作品

岩田講師の総評:
受講生の皆さんは仕事後のお疲れのところ参加いただき、大変まじめに取り組んでくださいましてありがとうございました。今年、参加していただいた皆様方は、それぞれお知り合いになれたと思いますので、このご縁を大切にして、仕事上での相談や情報交換などができるようになってくれることを願っています。また、今後もマテリアルセンターをどんどんご利用いただき、何か困ったことなどがあれば、お気軽に相談していただければ幸いです。

山田さんからのメッセージ
マテセン・スクールで「モノづくりを学ぶこと」は大きな一つの目的ですが、「若い方々の交流の場」としても機能しています。実は過去にも同じような取り組みを行っていた経緯がありました。その際に、受講されたメンバーが今では業界の最前線で活躍しているところは、感慨深いものがありますね。令和4年度もマテセン・スクール始まります!今後、1期生、2期生との交流なども考えていきたいと思っていますので、皆さん是非参加してくださいね!

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