新人デザイナーの登竜門「第96回装苑賞」グランプリ受賞の大下彩楓さんに独占インタビュー!
今回、新人デザイナーの登竜門「第96回装苑賞」の、グランプリを受賞された大下彩楓さん(岐阜県北方町出身)に独占インタビューさせていただきました!
「装苑賞」って何?という方のために、装苑賞HPリンクとLIVE配信を行ったYOUTUBE動画のリンクをご紹介いたします。(大下さんの発表は23:10くらいです)
今回、装苑賞でグランプリを受賞した大下さん。テーマは「音戯」。
「目には見えない音の動きを形にし、音が戯れる様子を「おとぎ」と名付けてコレクションを発表。着用して動きが加わるチュールの1枚1枚が軽やかに揺れ動くところを特徴とし、音の重なりを表現するため、動いたり、見る角度を変えることで、黒のグラデーションの形や濃度が変わるように製作しました」と大下さん。
---どのようなキッカケでファッションの世界に?
私の祖母が服作りや裁縫が好きだった影響で洋服やファッションが好きになって、小学校2年生の頃から祖母に裁縫やミシンの使い方を教えてもらっていました。また、両親に私の幼い頃のことを聞くと、絵を描くのも好きだったそうで、物心がつきはじめる小学校から中学校の頃、休み時間のほとんどは、自由帳にファッションデザイン画を黙々と描いているような少女でしたね。
次第に、「ファッションデザイナー」というものに何となく憧れを抱くようになり、中学を卒業すると岐阜県立大垣桜高等学校の服飾デザイン科に進学しました。
--- 高校生活はどうでしたか?
高校に進学した当初は、自分の思いと現実との歯車がうまく噛み合わなくて、最初の頃は全然楽しくなかったんです。使えると思っていたミシンも全然つかえなくて・・・。
高校入学してすぐに実力を思い知って努力し始めました。
私の性格上、「悔しい!」という思いがどんどん強くなってきて、
学校以外、家でも猛勉強したり、自分でミシンの勉強をしたり。
最終的には、服飾デザイン科の中で一位の成績をとれることもありました。
---すごく頑張ったんですね!
はい、がんばりました。課題であるコンテスト以外にも、個人的にいろんなコンテストに積極的に参加して、結果、10個以上の賞を受賞しました。高3の時には、第8回 UDDCファッションコンテスト2019 でグランプリに選ばれて、審査員のコシノジュンコさんに「高校生でここまで作れるのはすごい!」お褒めいただけたことが大きな励みとなっています。
---高校の時から頭角を現していたわけですね。高校卒業後の進路はどうやって決めたのですか?
高校は専門性が高く、主にファッションの技術を磨くスタイルで、与えられた大量の課題を必死にこなしていたので、大学では、ファッション関係のことも、それに関わるビジネスのことも、もっと幅広く勉強したいと考えて、それらの両方を実践的に学べる「国際ファッション専門職大学 名古屋ファッションクリエイション・ビジネス学科」に進学を決めました。
--- 大学進学とともに、コロナ禍にはいってしまいましたね。
そうですね。大学の入学式もできず、前期は8割オンライン。後期になってようやく5割くらいになりました。コロナの影響でほとんど家にいるような生活になり、高校でとても忙しかった反動で少し気が抜けてしまったこともありましたね。でもそのおかげで、時間に余裕をもって頭の中を整理することができました。
その時に、「本当に私がやりたいことは何なのか?」という自分自身への問いかけにも答えを出すことができました。
--- 本当にやりたいことって?
やっぱり「ものづくりが好き!」っていうことだけは、子どもの頃から変わらなかったので、「この好きなことを突き詰めていくこと」をやりたい!って思いました。
それからは、自分でモデルを起用したり、知人のカメラマンにお願いして、とにかく作品撮りをしていきました。それをインスタなどのSNSにUPして、自分自身をPRし、セルフブランディングを行っていきました。
---大学ではどう成長できましたか?
大学では「装いと社会性・ジェンダー」や「比較文化論」など一見ファッションとは関係なさそうな座学の授業を受けることで、違った視点からファッションについて知ることができ、デザインの発想の幅が広がりました。1つのモチーフに対して色々な視点から考えられるようになり奥行きのある深いデザインができるように成長したと思います。
---マテセンとの出会いはいつ?
羽島のマテリアルセンターへは高校の研修で初めて来ました。初めて来た時は、生地のボリュームに驚きました。それから、研修で2回ほど、利用させていただき、勉強させていただきました。
大学の先生の勧めもあって翔工房※1に応募したところ、50人ほどの中から選ばれ、マテセンの岩田さんが私の担当になってくださいました。
※1 )翔工房とは、ファッション業界の各方面での活躍を期待される学生に対して、企画力を早い段階から醸成する目的で創設された教育プログラム。翔工房について
---翔工房での活動はいかがでしたか?
実践でジャカードの生地を作るのは初めてだったので、自分の描いたイメージ通りのものが作れるか、不安でしたが、岩田さんのおかげで満足のいく生地に仕上げることができました。ここでは、「ものづくりは、素材からとにかくこだわることが大事」だと学びました。製作した生地は夜の海のイメージ神秘的な青のイメージと波の泡だった表現をしました。動きのあるフリンジの糸の色など、逐一伝えつつ、完成象を擦り合わせながら、つくっていきました。とても良い経験になりました。
---装苑賞を受賞した感想は?
発表があるまでは、何も知らせられていなくて、本当にびっくりしました。その瞬間はあまり記憶がないのですが、インタビューではちゃんと話せていましたね(笑)その後、控室で、審査員のコシノジュンコさんから直接「爽やかで、軽やかで、動きがあって美しい作品だ」とお褒めの言葉をいただき本当に嬉しかったです。
---今後の活動は?
大学はちゃんと卒業して、一旦就職をしてまずは安定したいです。もちろん独立するという目標はありますが、独立するのは、自信と確信を持てた時だと考えています。今のところ都会よりも岐阜や愛知の方が活動しやすいと思っていますので、東京などに出ていくことは考えていません。焦らずゆっくりやっていこうと考えています。ファッション関係のお仕事をしながら、時間がある時に、作品撮りしたり、余裕があれば、コンテストなどにも応募していきたいと思います。